2018年台湾→沖縄県の麻疹(はしか・麻しん)についての対応まとめ


沖縄県からの麻疹(はしか・麻しん)最新情報

2018年4月16日現在、沖縄では56名の感染者が報告されています。

年齢分布は以下の表。
定期接種でワクチン1回のみの世代(1977年〜1990年生まれ)を中心に流行が広がっているのがわかります。

予防接種歴の内訳は

0回 12人
1回 11人
2回 6人
回数不明 1人
不明 26人

となっており、(MRワクチンの定期接種での接種率が全国で第1期97%ある事を考えると、接種していない人は非常に少ないため)予防接種歴のない人が非常に多く、また予防接種歴が不明の人も多い事がわかります。麻疹は非常に感染力が強いため、抗体がもたない人がウイルスに晒されると、ほぼ確実に感染すると考えてください。
麻疹から身体を守るためには、ワクチン接種(2回)が有効です。下の項目に詳しい解説を載せています。


沖縄県からの最新のお知らせはこちらを参照してください。新しい情報が確認されたら、午前10時頃に更新を行うそうです。

はしか発生状況/沖縄県
http://www.pref.okinawa.jp/site/hoken/chiikihoken/kekkaku/mashin.html



名古屋市でも沖縄県へ旅行した方の麻疹患者さんが発生しています。
詳細は
広島県CDC(の発表している、名古屋市の情報)
https://www.pref.hiroshima.lg.jp/uploaded/attachment/273421.pdf

twitterでは港区でも麻疹患者さんが発生したとの情報が錯綜していますが、今確認中です(保健所から医師会へ通達があったようですが、未確認です)
追記:上記の名古屋市の麻疹患者さんが港区を通って移動した、という行動歴の話だったようです。詳細は不明です。(buzzfeed japanの岩永氏のツイート情報より)

これまでの経過

1例目は台湾からの観光客。こちらの中央社フォーカス台湾による報道によると、タイで感染をしたようです。台湾内でも感染が広がっています。(タイでの感染という情報はこちらの報道以外では確認しておりません。また詳細わかれば追記します)

1例目の観光した施設などで、二次感染者が急増。30人程度が二次感染したと思われます。

4月7日頃から、二次感染者から感染した三次感染者が報告されはじめました。

今後更なる感染者の増加が予想されます。また、三次感染以降については、感染経路を辿る事は困難になると考えられます。(潜伏期間からは、恐らく4月14日以降から四次感染者が増加すると思います。)



患者行動歴と健康観察期間の見方

沖縄県からのお知らせで、患者行動歴と健康観察期間をみる事ができます。

患者行動歴

麻疹患者さんの行動の中で、「感染力がある期間中に」「誰に接触したか特定できないようなもの」「注意喚起が必要」と判断されたものが示されているようです。(空港や人が多く集まる場所で行動している場合など)
接触者が特定出来る場合は直接該当者へ呼びかけがありますので、その場合は各自治体等の指示に従ってください。
麻疹は発熱1日前くらいから感染力があります。

接触した場合は
  • 母子手帳などで、麻しん単独ワクチン、もしくは麻しん風しん混合ワクチン(MRワクチン)の接種歴(計2回)
  • はっきりと病院の検査で「麻疹ですね」と診断された事があるかどうか(記憶を頼りにすると、自己判断や他の風疹などの病気と勘違いしている事があります)
を確認してください。ワクチンを2回、もしくは麻疹に感染した事がある事がはっきりしていれば、感染の心配はほぼありません。

また、麻疹ウイルスの空気中での生存期間は2時間以下とされています。該当日時以降の使用を控える必要はありません(風評被害に加担しないよう、ご協力お願いします)。

健康観察期間

麻疹は潜伏期間が10〜12日と長く、麻疹患者さんと接触後、発症するまでに時間がかかります。また、複数回接触する事もあります。
そのため、約7〜21日の健康観察期間を設けて、その間に37.5度以上の発熱、咳・鼻水・ くしゃみ・咽頭痛等の上気道炎症状、倦怠感、発疹等の症状が出ないか、様子を見る必要があります。

「麻疹かな?」と思ったらどう行動したらいいか

麻疹患者さんと接触の可能性があった後、10〜12日程度の潜伏期間をあけて、37.5度以上の発熱、咳・鼻水・ くしゃみ・咽頭痛等の上気道炎症状、倦怠感、発疹等の症状が出た場合、麻疹かもしれないと考えて行動しましょう。
特に、最初に症状が出る時には、麻疹の症状として有名な発疹(皮疹、ブツブツ)は出ません。ただの風邪と見分けがつきませんので、自己判断はしないように注意しましょう。

  • まずマスクをします(他の人へ感染させるリスクを減らします。N95などではなく、普通のマスクでOK)
  • 医療機関に電話で「麻疹かもしれません」とはっきり伝え、指示を仰ぎます(場合によってはその医療機関では対応できない事もあります)
  • 医療機関への移動は公共の交通機関は使わないでください(感染を周囲に広げる可能性があります)
麻疹患者と接触の可能性があり、麻疹の疑いがあるかどうかの情報は、診断の上で非常に重要です。必ず伝えるようにしてください。

接触していない人・沖縄県以外に住んでいる方へ

今後も流行が広がる可能性があります。
流行を広げないために必要なのは、できるだけ多くの人が麻疹への抗体を持つ事です。そうする事で、これ以上感染者を増やさない→流行を防ぐ事ができます(集団免疫といいます)。
そのためにはMRワクチンの接種2回が必要となります。

しかし、ワクチンの数には限りがあります。麻疹患者さんへの接触後72時間以内に接種する、という方法もありますが、確実に接触をした基礎疾患のある人(重症化が危ぶまれる人)などへ優先的に使う必要も出て来るでしょう(γ-グロブリンについても同様です)。

ですので、まずは
  • MRワクチンの定期接種(1歳と就学前1年)の徹底&年長さんは早めの接種
これが最優先となります。免疫のない子どもをワクチンで守ってあげましょう。
そこを充足させた上で、

  • MRワクチン未接種者・接種歴不明者のMRワクチン2回接種

を広げていく必要があります。(行政に全力で期待します)

今後、ゴールデンウィークを挟みますので、沖縄だけではなく全国に広がる可能性があります。沖縄県以外にお住まいの方も、今一度、麻疹もしくはMRワクチン接種歴の確認と、(在庫次第にはなりますが)未接種者・不明者は接種を検討してください。

妊婦さんや乳児(特に半年未満)はMRワクチンを接種する事ができません。他に基礎疾患がありワクチンを接種できない人も沢山います。
あなたの行動で、誰かの命を守れるかもしれません。

みんなで守りましょう、みんなで防ぎましょう。

まだまだ世界では、麻疹は制圧できておりません。いつ日本に持ち込まれるかわかりません。海外に行く際は、是非麻疹含めたワクチンの接種歴を改めて確認してください(渡航外来で必要なワクチンを接種できますので、ご相談ください)。

流行するしないに関係なく、長い目での麻疹対策をして欲しいと思います。


2016年に麻疹が流行した時に作成した記事等のまとめがあるので、参考にしてください(当時の状況を鑑みて作成しているので、現在とはそぐわないものがあるかもしれませんがご了承ください)

麻疹情報|33歳女医、やっと子どもができた頃
http://halproject01.blogspot.jp/p/blog-page_29.html


参考サイトなど

記者発表(プレスリリース)資料/沖縄県
http://www.pref.okinawa.jp/site/hoken/eiken/kikaku/kansenjouhou/press.html
麻疹発生時対応ガイドライン〔第二版:暫定改訂版〕/国立感染症研究所感染症疫学センター
https://www.niid.go.jp/niid/images/idsc/disease/measles/guideline/guideline02_20160603.pdf
はしか感染広がる タイガーエア台湾乗務員2人も/台湾 | 社会 | 中央社フォーカス台湾
http://japan.cna.com.tw/news/asoc/201804050001.aspx


by カエレバ

(記事は下に続きます)
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